厄介な冬季うつや睡眠障害…「PERIOD3」遺伝子の突然変異原因か。1/1

Ying-Hui-Fu、Louis Ptácekらによる研究チームが体内時計に関わる遺伝子「PERIOD3(Per3)」の突然変異が季節性情動障害などに与える影響をマウス実験で明らかにしました。

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 高緯度地域に多い、冬季うつ

冬季うつ」という言葉をよく聞きます。正確には「季節性情動障害(seasonal affective disorder.SAD)」と言います。

米国精神医学会の定める最新の『精神障害の診断と統計マニュアル(DSM)』では、反復性大うつ病。
WHOの定める『疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD-10)』では反復性うつ病性障害に含まれています。

北極圏や南極圏など、高緯度地域に住む人々の10%が罹患しており、一般に平均すると約3%です。

体内時計の遺伝子「PERIOD3(PER3)」

神経学者のYing-Hui-Fu、Louis Ptácekらによる研究チームがこのたび、「家族性睡眠相前進症候群(Familial Advanced Sleep Phase.FASP)」と呼ばれる「季節性情動障害」の一種に罹患したことのある家族には、PERIOD3(PER3)」という遺伝子に、特定の突然変異が起きていることを突き止めました。

季節性情動障害は、遺伝子疾患であることは長年疑われてきました。

ですが、遺伝子学と季節性情動障害の関係性は状況的な証拠しかなく、偶然ではないか?とも思われていた部分もありますが、今回の研究でメカニズムが明らかになっています。

マウスでメカニズム解明

家族性睡眠相前進症候群の患者は、「19:30には眠たくなり、4:30には起きる」という早めの体内時計を持っています。

PERIOD3遺伝子の突然変異は、睡眠と気分のコントロールに重要な「既日時計遺伝子」の一つです。
突然変異は、SADとFASP両方に罹患済みの家族メンバーに見られるので、疾病の主犯格ではないかと思われたのです。

突然変異の遺伝子を導入されたマウスに対し、4日間の昼と、20日の夜という風に「光と日照時間を、人為的に変更して季節を変える実験」を行ったところ、マウスはFASP罹患者と同じような行動を見せました。

すなわち体内時計が前倒しになり、軽いうつ症状が現れ始めたということです。

研究チームは、もちろんマウスが、人間と同じような感じ方でうつ状態にあるとするのは不可能だとしています。
「マウスに質問したわけではありませんし、そんな質問票もありませんから」と、Ptácek。

睡眠障害・気分障害のケアにも繋がる

確かに、マウスが、人間と同じような形でうつ状態にあるとするのは不可能ですが、マウスでも、不利な状況(逆境)に陥ったらすぐに諦めようとするような兆候が見られています。

なので、遺伝子の突然変異がげっ歯類においても、人間と同じような役割を果たしていることがわかるのです。

これは季節性情動障害に直接影響を与える「突然変異遺伝子」についての最初の研究となります。

おそらく、睡眠障害や気分障害の明確なメカニズム解明や、それらのケアにも繋がっていくと思います。

当研究結果は、全米科学アカデミー紀要(US National Academy of Sciences)に掲載されています。

Shedding Light on Seasonal Affective Disorder

季節性情動障害について、わかりやすく解説された動画です。
地域別の罹患率やメラトニン、セロトニンなどの脳内物質の影響、投薬がシナプスに与える影響や心理療法についても。(3:49)


【参照】

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